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親業訓練協会 近藤千恵 監修  
親業訓練インストラクター 稲葉さゆり

<子どものサインと聞き方>

 次男が生まれて2ヶ月が過ぎた頃、3歳の長男が、入園したばかりの保育園に行くのを、嫌がるようになりました。私はそんな長男にどう接していいかわからず、親子の心の架け橋作りを学ぶ、親業訓練講座を受講することにしました。
講座の中で、『子どもは何か嫌なことや、悩みごとがあると、必ず何らかのサインを出すもの』と学び、ハッとしました。長男が、保育園を嫌がる前から、多くのサインを出していたことに気づいたからです。  
生まれたばかりの赤ん坊の足をつねったこと、授乳中、私の肩に頬をのせ甘えてきたこと、他にも「ママのばか」と叫んだり、泣いたり、無表情だったり。これらの行動はすべて、心に傷を負ったことを現すSOSのサインだったのかもしれない。見方を変えてみると、なんとも思わなかった行動や、私が怒った行動の中から、長男のせつない気持ちが浮かび上がるように見えてきました。親にかまってもらえないさみしさや、気持ちを理解されない悔しさを、気づこうとしない親に、何度も形を変え、サインを送っていたのかもしれません。それから私は、心のアンテナを磨き、子どものサインをキャッチできるように努力しました。サインをキャッチしたときに、親ができることがあることも講座で学んでいました。
ある日、次男が熱を出した時のことです。医者に行く間、一人で留守番をしていた長男は、私が帰ると、すねた様にこう言いました。
「とも君が生まれてから、僕はいつも一人ぼっちだ。」
さみしい気持ちがずしりと伝わってきたので、
「いつも一人で、さみしかったのね」。
と、気持ちを汲んだ言葉を、しみじみ返しました。すると長男は、ぽろぽろ涙をこぼし、大きな声で泣き出しました。今まで、怒ってばかりいる母に、目を真っ赤にして耐えていた長男。この時は、分かってもらえた安心感が、緊張の糸を緩めたのでしょう。たった三歳の子にずいぶん我慢をさせてしまいました。申し訳なさと,愛しさがこみあげてきて、私はしっかりと長男を抱きしめました。 
 それからは、無理に保育園に行かせることは止め、2人の時間をできるだけ多く作るように心がけました。時には夫に次男を任せ、2人だけで電車に乗り、動物園に遊びに行ったこともあります。ご飯は手抜き、家の中は散らかり放題でしたが、確実に長男の笑顔は増えていきました。
 さみしい思いをさせた時間を、取り戻すかのように密着してすごした日々。それもやがて、長男から終わりの言葉が告げられました。
「あんまり保育園を休むと、友達が僕のこと忘れちゃわないかなあ」
「友達がのり君のこと忘れないか心配になったのね」
私はそれだけ言い、自分の意見は言わないようにしました。本人の意志で行きたいと思うまで、待つつもりでいたからです。次の朝、長男は元気に保育園に出かけていきました。
 今思うと、赤ん坊が生まれてからすぐに保育園に入ったことで、見捨てられたような
不安があったのかもしれません。子どもの気持ちを、ただまっすぐに受け止める能動的な聞き方を実践したおかげで、長男の気持ちを理解し、親である私の愛情を伝えることができました。しっかりと親の愛を確認したからこそ、自分で保育園に行くことを決め、私という港から旅立って行ったのでしょう。子どもが満たされた気持ちで、思いっきり自分の可能性を伸ばしきれるように、母港である私もまた、親業と共に、安定したさらに大きな港へと成長していきたい。そんなふうに、思っています。


稲葉さゆり(いなばさゆり)
1967年生まれ 名古屋女子大学卒。
2000年 親業訓練インストラクター資格取得
愛知県在住 3人の息子の親。
現在、小学校の相談員として勤務する傍ら、
親や教師を対象とした講演、講座で活動中。


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